「ホームレスについての考え方」自己責任論 イギリスでの経験

ヨーロッパでは道端でホームレスを見かけます。

初めてイギリスに来た時と今とでは、「ホームレス」についての考え方は変わりました。

目次

1)「ホームレスになったのは自己責任か?」

日本のホームレスは、物乞いしてきませんし、街の目立たない所にいると思います。日本では、物乞いが禁止されているので、出来ないのですね。

もし、禁止されていなかったとしても、ヨーロッパほど物乞いをする人は、いないんじゃないか?と思います。

日本では、それは恥ずかしい行為と思う人が多いと思います。

「ホームレス」になったのは、その人の責任だ。と思っている人が多いんじゃないでしょうか?

私達は平等じゃないし、人生いい時、悪い時があるので、悪い時に、ホームレスになってしまうこともあるかもしれません。

一度、ホームレスになると、抜け出すのは大変です。

2)「ホームレスは、なぜ働かないのか?」

2-1 語学学校で、先生に言われたこと

ある日、語学学校の授業でホームレスの話になりました。

先生に「ホームレスにお金を寄付したことは、ある?」と聞かれました。

「私は、お金をホームレスにあげたことがありません。私は、ここに来るために一生懸命、働いて、お金を貯めたんです。どうして、彼らは働かないんですか?働けるじゃないですか。」

と答えました。

「彼らは複雑な家庭に生まれた人が多いの。一部のホームレスは親に捨てられたり、学校に充分に行かせてもらえなかったから、あまり字が読めないし、書けないの。

どうやって仕事に応募するっていうの?

履歴書が書けなかったり、字が読めなかったら働けないでしょ?

私達は、彼らを助けて行かなきゃ。彼らに、お金をあげた方がいいわよ。誰でもホームレスになる可能性があるのよ。想像してみて。
ホームレスになって、孤独で、一日中、誰とも話さなかったら、おかしくなってしまうわ。」

先生は、その男性の話し相手になり、スーパーで食料品を買うためのお金をあげているそうです。

その時、私は、あまり納得していませんでした。

「日本人とヨーロピアンの、ホームレスに対する考え方」は違うと思います。

その後、一人の女性と会い、考えが変わりました。

3)「元ホームレスの女性との出会い」

1年後、私は一人のハンガリー人女性にロンドンで出会いました。

ヴィクトリアコーチステーション(長距離バス乗り場)から出て歩いている時、「victoria駅(地下鉄の駅)は、どこですか?」と、その女性に聞かれました。

道に迷っていたので、てっきり旅行者だと思っていたら、ロンドンに住んでいました。

私は、思わず「あなたがうらやましい。ロンドンに住めるから」と言ってしまいました。

彼女は別れる前に、自分がどうやってロンドンで生き延びて、今、暮らしているか教えてくれました。

「ロンドンに来てから、しばらくは、この近くの慈善団体で英語のレッスンを受けさせてもらっていたのよ。

他にも慈善団体があるから、そこで食事をさせてもらったりしていたわ。14日間、ホステルに泊まって、その後また他の14日間、他のホステルに泊まっていたの。そう。私は10カ月間、ホームレスだったの。

ホームレス支援団体に助けてもらいながら仕事を見つけて、今は普通に暮らしてるそうです。

ホームレスだった人と話したことは、なかったので衝撃的でした。(彼女はホステルに泊まっていたので、路上生活者rough sleeper では、なかった)

4)ホームレスに、お金をあげるべきなのか

4-1 泣きながら話しかけてきた女性

ある日、最寄り駅に着いたら、一人の若い女性に泣きながら話しかけられました。

「もう18ポンドしか、お金がない。2週間、家がない…。」と、お札と小銭を見せながら言われました。

あまりの必死の形相に私も涙が出てきて、何も言えなくなり、ATMで、お金をおろして、渡しました。

「泣いている演技に騙されたんじゃ?」と思う人もいるかもしれませんが、ボロボロ泣いていたので、演技じゃないと思います。

時間があったら、話を聞いて、「女性路上生活者」用のシェルターを探すこともできたんですが、その時は、予定があり、急いでいたので出来ませんでした。

「ホームレス」に、お金をあげない方がいいと考えている人もいます。

私のイギリス人の友達たちは、お金をあげていません。

4-2 イギリス 「ホームレス」、「物乞い」への考え方が分かる本

実際に、自分が経験したことを通して、「ホームレス」、「物乞い」について書かれた本があります。

人々の「ホームレス」、「物乞い」への考え方が垣間見られます。

・「ボブが遺してくれた最高のギフト」

この本は日本でも話題になった映画「ボブという名の猫」の原作の続編です。

映画化され、2022年2月に日本で公開されます。

一作目の映画は、主人公ジェームスは薬物依存症、ホームレスになり、父の再婚相手には嫌われていました。ボロボロだったジェームスの元に、一匹の猫ボブがやって来ます。ボブのおかげで、人生が好転していくが、薬物依存、安定した生活を得ることは困難で…という話です。

主人公のジェームスは子供の頃に両親が離婚し、母親と共にイギリスからオーストラリアに引っ越しました。母親の仕事は転勤が多い仕事で、転校を何回もしました。クラスメイトに馴染もうと、がんばっても上手くいかず、家にこもることが多かった子供時代でした。

ジェームスは「ビッグイシュー」の販売員を始めました。

ボブと一緒にいると、売り上げが増えます。

「ビッグイシュー」販売時に、よく話しかけてくれる男性ポールに、ジェームスが偶然、会った時のエピソードが、「ホームレス」についての考え方を説明するのに、合っていました。

ポールは、ジェームスからビッグイシューを買ってくれ、5ポンド(約800円)をくれました。

↓ポールと、一緒にいた男性の会話です。

「なんだって、そんなことするんだよ。」

「え」

「5ポンドさ。見てみろよ、この男を。その金でヤクでもやるのがオチだぞ。」

「この人はそんなことしないよ。」

「自立しようとしているんだ。変なこと言うなよ。」

「ボブが遺してくれた最高のギフト」より

この後、二人は喧嘩し始めました。

その様子を見ていたジェームスは、こう思いました。

路上で働き始めてから、ぼくが目の当たりにした反応の要約みたいなものだ。人によってはぼくを信用して手を貸そうとしてくれる。でも、そうでない人もいる。それだけのことだ。

「ボブが遺してくれた最高のギフト」より

ジェームスは、「ロンドンの評判は良くないけど、優しい人は、たくさんいる。その人たちの小さな思いやり、行動、一つ一つは小さいかもしれないが、僕の命を救ってくれた」と書いています。

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・「ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち」

この本の著者 ブレイディさんが配偶者、友達、友達の甥とパブに行った時、一人の女性が「小銭を恵んで」と言ってきました。(物乞い)

友達が彼女に小銭を渡すと、彼の甥は注意しました。

甥はホームレス支援のチャリティーでボランティアをしているそうです。

あれは路上生活者じゃないよ。ドラッグやアルコールを買う金が欲しいから物乞いしてるんだ。見ればわかるでしょ。僕たちの団体や、他のチャリティーだって、物乞いには金を渡さないように強く呼びかけている。

ワイルドサイドをほっつき歩け より

ベガーの80%はドラッグを買うために物乞いをしていると言われている。本当に彼らのことを考えるのなら、金銭を渡すべきでは、ない。彼らの生活を変えたいのであれば、ドラッグのための相談センターやチャリティーに寄付するべきで、いまみたいに金を渡せば、彼らが依存症から立ち直って生まれ変わることを延期する手伝いをしているようなもんなんだよ。それでは逆効果なんだ。

ワイルドサイドをほっつき歩け より

「ベガー」は物乞いのことです。

「Beg」は「乞う」にerがついて「begger」です。

ワイルドサイドをほっつき歩け ハマータウンのおっさんたち [ ブレイディ みかこ ]

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5)日本では、どうして女性のホームレスを見ないのか

日本で、女性のホームレスを見たことがありません。

イギリスでもドイツでも女性のホームレスを見ることは珍しくありません。真冬に、路上生活しているカップルも見たことがあります。

どうして、日本ではホームレスの女性を見ないのか?

行き場を失った女性が、風俗店が借り上げているマンションに住んでいたり、ネットカフェに住んでいたり…という実態があると、下記の本で知りました。

女性たちの貧困 “新たな連鎖”の衝撃【電子書籍】[ NHK「女性の貧困」取材班 ]

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感想(0件)

この本には、女性の立ち直りや、自立、進学などを支援している「デリバリーヘルス」の会社についても書かれていました。

行き場を失った女性への「公」のサポートが充分では、なく、「風俗」がセーフティーネットになっているそうのです。

語学学校の先生が言っていたことと同じく、このデリバリーヘルスで働きたいと、やってくる女性は、簡単な文章を「理解することができない」ことが多いそうです。

この企業が作った就業規則などを書いた冊子には、全ての漢字にフリガナがふられているそうです。

この企業の代表者曰く

ここにいると、日本の識字率が100%に近いといわれているのは嘘だと感じますよ。スマホのメールは打てたり、一応は字が読めたとしても、文章の内容を理解できない子が多い

女たちの貧困 新たな連鎖の衝撃 より

だそうです。

教育をきちんと受けないまま社会に放たれてしまうため、文書を見せられても、よく理解しないままサインをしてしまい、騙されて借金を背負う女性も少なくないそうだ。

女たちの貧困 新たな連鎖の衝撃 より

もっと、保護が受け易く、どこに行けば保護が受けられるか分かりやすくなっていればいいのでは…(そもそも、女性が入れる保護施設がもっと必要)と思います。

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ABOUT US

バルサlillyingermany
山奥の米農家長女。27歳で初めてパスポートを作って台湾へ。ヨーロッパは、「別の世界」だと思っていました。日本で英語を使う仕事した後、ワーホリ申し込み不可の年齢になってからイギリス語学留学。 その後、スイスでworkaway(自分で探して手配したから無料)とヨーロッパ旅行。その後、ドイツで一年半生活。ドイツ一年目は、イギリスに10回渡航。 趣味は「イギリスが舞台の映画、ドラマを見る」、「知らない街散策」、「読書」etc。イギリスが好き過ぎて、「イギリスが舞台の映画」をたくさん見ているので、「この映画の、この場面で、△△が出てくる」など詳しくなりました。ブログで紹介している映画、ドラマは99%、自分が見たものです。 サステナブルな暮らし開始。(少しずつ)。通信制大学で社会学を勉強し始めました。 ブログは私が「行ってみた」「使ってみた」等、経験を基に書いています。「なんでもやってみてから納得するタイプ」です。