イギリスというと、下記の写真のような「フル・イングリッシュブレックファスト」を思い浮かべる人が多いようです。

この朝食を毎日食べていると思っている人が多いようなんですが、彼らは、たまにしか、この朝食を食べていません。
忙しい朝は、軽い物で済ませ、「フル・イングリッシュブレックファスト」は週末、自宅で食べたり、旅行先のB&Bで食べています。
平日は、どんな物を食べているんでしょうか?
「フル・イングリッシュブレックファスト」は、どのように始まり、広まったんでしょうか?
目次
1)「フル イングリッシュブレックファスト」の歴史
「フル・イングリッシュブレックファスト」は、ときどき、「Fly-up」とも呼ばれます。ほぼ全ての食材が「焼かれている」からです。
「フル・イングリッシュブレックファスト」は「ソーセージ、ベーコン、ベイクドビーンズ、焼きトマト、卵(スクランブルエッグか目玉焼き)、トースト」 で構成されます。
それらに、紅茶かコーヒー、トーストが付きます。
「フル・イングリッシュブレックファスト」の歴史は1300年代まで遡ります。
豪華な朝食は、貴族階級(爵位付き)で食べられていた他、地主階級(gentry)の人々が結婚式のような、お祝いの時に食べていました。
「gentry」は上流階級、中流階級、労働者階級の、階級の中で「gentry」は上流階級の中の一番下に位置していました。作家のジェーン・オースティンは、この階級です。
ジョージアン王朝時代になると、豪華な朝食は、週末のパーティーや「狩り」に行く前に、親戚や友達に振舞われるようになりました。
社交の際に、招待客をもてなすための物だったのですね。
「gentry」は「フル・イングリッシュブレックファスト」を振舞う際に、自分たちの所有地で採れた肉、野菜の質を通して、自分たちの富や地位を誇示しました。
ヴィクトリアン朝時代に入り、起業家が「フル・イングリッシュブレックファスト」を含む「gentry」の習慣を真似たいと思い始めました。
労働者階級の食生活は、家庭の経済状況によってかなり異なっていたようです。
家族みなが収入を得ている 比較的、裕福な家庭 | 毎日、ベーコンとチーズを食べていた |
中ほど | 馬鈴薯の中に小さく刻んだベーコンが 入っている |
下層労働者 | ベーコンは食べられない。 チーズ、パン、オートミール、 馬鈴薯の食事 |
エドワード朝時代(1901~1910)には中流階級の人たちにも「フル・イングリッシュブレックファスト」が広まりました。
1880年代には、ベーコン、トースト、バターというイングリッシュブレックファストが中流階級にまで普及していたという見方もあります。
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1900年から2年間、ロンドンに留学した夏目漱石は、毎朝、朝食に「ポリッジ」を出され、うんざりしたそうです。
「フル・イングリッシュブレックファスト」は労働者階級の人々にも食べられ始めました。
1950年初頭には、成人イギリス人の約半数が「フル・イングリッシュブレックファスト」を食べるようになりました。
現在、イギリスの高級ホテル、ゲストハウス、B&B、カフェやレストランで提供され、一日中、食べられる飲食店もあります。
確かに、庶民的なカフェでも、ポッシュな(おしゃれで高級な)カフェでもイタリアンカフェでも「フル・イングリッシュブレックファスト」が食べられます。

映画「パレードへようこそ」、「ロケットマン」のロケに使われたカフェ「Regency cafe」で「フル・イングリッシュブレックファスト」を食べた経験の記事もどうぞ。
レトロなロンドン。イングリッシュブレックファストが名物「Regency cafe」(リージェンシーカフェ)
2)「イギリス人は、どんな朝食を食べているか?」
牛乳を入れた紅茶かコーヒーを飲む人が多いです。
※ミルクティーは和製英語です。Tea with milkと言います。
2-1「ポリッジ」
ポリッジはオートミール(燕麦)に牛乳を加えて煮た、お粥みたいなものです。
忙しい朝は、煮ずに電子レンジで温めて作っている人がほとんどです。
ハチミツやメープルシロップをかけたり、フルーツを乗せて食べます。
チョコをかけたり、しょっぱく味付けして食べたり、食べ方は無限にあります。

kiki
kiki

日本でも数年前に「オートミール」ダイエットが流行りました。
日本人には甘くして食べるより、しょっぱい味付けで食べる方が合っているようです。
私も一時期、オートミールを食べていましたが、腹持ちがいいので、空腹を感じづらいです。オートミールを一晩、水に漬けて柔らかくして、小麦粉、牛乳、卵を入れてパンケーキにして食べたりもできます。

オートミールはスーパーで安く売っています。こちらは500gで£4(約560円)です。
他のスーパーマーケットだと、もう少し安いです。
1食分ずつ分けられていない物は、もっと安いです。
2-2「シリアル」
朝食にシリアルを食べる人も多いです。
スーパーマーケットには、たくさんの種類のシリアルが売られています。

その中でも私が一番好きなのは「Fruit’n&Fibre」(イギリス英語なのでrとeが逆)

このシリアルは、350g £2.5(約350円)で買えます。
シリアルについては、こちらの記事もどうぞ。イギリス 朝食に欠かせない 健康系「シリアル」5種を食べ比べ。
2-3「トースト」
トーストを食べる人も多いです。
イギリスではパンが安くて(というかヨーロッパでは)日本の3分の1くらいの値段な気がします。
一人で、この量を食べるのは、大変なので冷凍しています。
3)他にもある「イギリスの伝統的な朝食」
頻繁には食べられていない、イギリスの伝統的な朝食がまだあります。
3-1「ケジャリー」( Kedgeree)
ケジャリーはヴィクトリア朝時代、イギリスが支配していたインドから持ち込まれ、朝食として広まりました。

コダラの燻製、、バスラティミ米、ゆで卵、バター、レモン、パセリを使用して作る「ピラフ」のような料理です。
現在、ロンドンでも、少数のレストランで提供されているようです。
3-2「キッパー」Kipper
キッパーは、ニシンを開いて、塩漬けにして燻製にしたものです。

ポーチドエッグ、トーストと食べることが多いよう。なんだか味が想像できないのですが、タンデム(語学学習パートナー)は、「おいしいよ」と言ってました。
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